今日は、
ワタリウム美術館で開催中の、
ラリー・クラーク「パンク・ピカソ」展に行ってきた。
知っている人には今更なんだけど、今では
「KIDS」や
「アナザー・デイ・イン・パラダイス」 「KEN PERK」など、
映画監督としてのラリー・クラークのほうが有名かもしれない。でももともとは
写真家。私の大好きな写真家の一人です。
ラリーを知ったのは10年前くらい。以前、ここで書いた
牛腸茂雄の写真を知ったのと同様に、
飯沢耕太郎氏編集の
写真雑誌「deja-vu」からでした。
左の写真は、その
「deja-vu」にも掲載されていた、ラリーの写真集
「TULSA」と
「Teenage Lust」から引用したもの。ラリー自身、オクラホマ州のTULSA(タルサ)という、
White Trash(白人貧窮層)が多く住む街の出身で、この2冊の写真集には、ドラッグに溺れる地元の友人や、若者たちの姿がそのまま写されているのです。この写真を見たときの
衝撃といったら・・・拳銃をくわえて勃起している少年や、ドラッグを打ちSEXしている若者の姿の生々しさは、本当に凄くて、酷くて・・・アメリカという国の現実を見せ付けられたのでした。
展覧会は、ラリー・クラークの
レトロスペクティブ的なもので、写真はもちろん、コレクションしていた
新聞記事、彼が心に留めていた
言葉のメモ、
手紙やレコードなども展示されていました。会場には彼が好きなジャズやR&Bが流れていて、
彼の世界にどっぷりと浸れる、素晴らしい展覧会でした。
ちょっと恥ずかしい余談になってしまうけど、ラリーの写真に出会った頃、私は
Blankey Jet Cityというバンドが好きでした。
初期のBlankeyは、
Vo.のベンジー(浅井健一)が、まるで映画を観ているかのように鮮明なヴィジュアルが浮かぶ、
天才的な歌詞を書いていたのですが、彼の写真を見たときに、なぜか
「まるでBlankeyの歌の世界だ」と思ったのです(笑)。うまく説明できないけど・・・若者特有の青さと、残酷さが一緒くたになっているような・・・。
胸を締め付けられるような切ない気持ちにさせられたのを覚えています。
それに、別にBlankeyの曲じゃなく、ラリーの写真を観るとなぜか、
音楽が聞こえて来るところも好きな理由なんですよね。
普段、呑気に韓流ネタばかり書いているので(笑)、こんな写真をいきなり見せられた普通の方は、きっと驚くと思うんだけど(苦笑)、まぁ、
リバー・フェニックスを自分の映画に使いたくて、雑誌のグラビアをコラージュしまくってたものをそのまま展示してたりもして(笑)、
ゲイだの
バイだの
少年愛好者だの、いろいろと言われてますが;; そういうことをひっくるめても本当に素晴らしい写真家です。
「パンク・ピカソ」とはよく言ったもので、彼の
パンクな生き方そのものを、作品に昇華出来ている希少な作家だと思います。
展覧会は30日までやっているので、興味を持たれた方はぜひ見に行ってほしい。こういう風にまとめて作品を見れる機会は、日本では滅多にないよ。